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2010.04.13

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」

1993年作
監督:岩井俊二
出演:奥菜恵/山崎裕太/反田孝幸/小橋賢児

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?

もともとは'93年にフジテレビのドラマ『ifもしも』の一編として放映され、 TVドラマにもかかわらず監督の岩井俊二が日本映画監督協会新人賞を受賞してしまったという作品。

小学生の典道らは、 打ち上げ花火を横から見ると丸いのか平べったいのか…という素朴な疑問を持ち、 花火大会の夜、 その答えを見つけに近くの灯台に行くことを計画する。一方、 両親の離婚に傷つく少女・なずなはその日、 駆け落ちを企てようとしていた…。(goo資料より)

ううむ。やはり、少女を撮らせたら、絶品の仕上がりを見せますね、この監督は。
それも、処女作ということで、初々しい思春期の心の揺れを、細やかに描き出して、もうその特徴とハンドカメラによるカメラワークの冴えで、新たな映像に表現の訪れを告げているようですね。
まあ、この監督はセンスだけで魅了するタイプというのか、ポエティックな映像が、もう本当に新鮮でした。

プールのシーンを最初に見た時は、ドキッとしました。
これほどまでに、少女の感性をデリケートに表出した映画って、なかったんですよね。
むしろ、そういうことって、少女漫画の専売特許みたいなところがあって…。

でもでも、理屈ぬきに、こういう感覚はよくわかるし、好きな映画の一つには違いありません。

13:32 | 東京 霧 | Comment(0) | 岩井俊二監督作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007.08.09

「ココニイルコト」

ココニイルコト ◆20%OFF!

製作年 : 2001年 配給 : 日本ヘラルド映画
心傷ついたOLが、変わった青年との出会いを通して再生していく様を描いたラヴ・ストーリー。監督は、「はつ恋」などの脚本家として知られ、本作で本篇デビューを飾った長澤雅彦。主演は、映画初出演の真中瞳と「張り込み」の堺雅人。

ココニイルコト.jpg

こういう映画で、ひと息つくのもいいかもしれない。
何か飛びぬけたものとかはないけども、まったりと進んでゆくストーリーも、なかなか味がある。
全体に静かで、間が少しズレていて、ホッとできる。
素人っぽいヒロインも好演しているし、相手役の関西弁の男もいい。
売らなければ、賞と獲らなければとかいう気負いのない、B級に徹した作り方は、好感が持てた。
純愛ブームとか、流行とか、最先端を走らない、走るつもりもない世界にも、間違いなく存在意義があるという当たり前のことを再認識した。
いやいや、理屈ぬきに、リラックスして、まったりとした時間が楽しめばいいのだろう。
とにかく、気分を楽にさせてくれる、見ていると肩の力が自然とぬける映画だ。



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09:55 | 東京 霧 | Comment(3) | TrackBack(7) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007.08.08

「春の日は過ぎゆく」

2001年 韓国・日・香港
監督: ホ・ジノ
出演: ユ・ジテ/イ・ヨンエ/パク・インファン/ペク・ソンヒ/ペク・チョンハク

春の日は過ぎゆく2.jpg

ホ・ジノ監督の第二作目。「八月のクリスマス」と比べてしまうと、やはり商業的な要素がはいってしまっている。その分、純度は落ちている。
しかし、音に関わる職業の青年は実に繊細でいい。
眼を閉じ、耳を澄ませてごらん、心の声が聞こえてくるから、と語っているような映画だ。

春の日は過ぎゆく ◆20%OFF!

男女間の描き方が、俗っぽいところがあり、残念。

ラストシーンは素晴らしい。見渡すかぎりの麦畑、背景に一本の樹。川が流れている。
監督の理想とする世界が描かれているようだ。
「八月のクリスマス」を見た時、この監督は小津安二郎が好きなのではと感じたが、最近見た小津の「麦秋」のラストが、「春の日は過ぎゆく」と余りにも似ていて驚いた。
小津は最後まで清らかな世界を「麦秋」で描ききったが、ホ・ジノは二作目にして、かなりトーンダウンした感はいなめなかった。

(少し俗っぽくなってないですかねえ?
きつい言い方かもしれないけど、この監督にはピュアな世界を徹底的に描いてもらいたいんです。こんなに才能のある人は滅多いません!)

頭から最後まで、きっちり純化しないと、気持ち悪い映画になってしまう、というか、少しでも不純物が混じると、いっぺんに作品そのものが色あせてしまうのを知った。
芸術って怖ろしい。誤魔化せないもんなあ…。

もともとが無垢な世界観が魅力の監督だと思うので、あまり商業的なものに振り回されずに、小津のオマージュを続けて欲しいと切に願う。
これほど、映像感覚の優れた監督は滅多にいなと感じるからである。
それほど前作の「八月のクリスマス」は良かった。



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2007.08.06

「赤い天使」

製作年度 1966年
製作国・地域 日本
上映時間 95分
監督 増村保造

【送料無料選択可!】赤い天使 / 邦画

(あらすじ一部)
昭和十四年、西さくらは従軍看護婦として天津の陸軍病院に赴任した。その数日後、消灯の後の巡回中、彼女は数人の患者に犯されてしまった……

増村保造という監督について、数年前まで全く知らなかった。
NHKの教育放送で、彼の特集が組まれ、それを偶然見て知ったのだ。
この出逢いはありがたかった。
それから、数ヶ月、増村監督の映画を片っ端から見あさった。
この「赤い天使」は、彼のベスト3にはいる傑作だと思う。

戦争下という極限状況だが、監督の描く人間はしぶとく生命力にあふれている。
西さくらというヒロインもそうだ。
上官である軍医を愛し、彼のインポテンツを己の肉体の力で癒してしまう。
むせ返るようなエロチシズム、だがそれは少しも下品ではなく、神々しささえ感じてします。

シナリオ、特に会話が素晴らしい。
芦田伸介と若尾文子という古い名優が、渋くて深みのある演技を見せてくれる。

20〜30代の人に、特に見てもらいたい映画だ。
ハリウッド映画もいいが、たまには日本の古い名作を見るのもいい。
増村監督の作品については、これから積極的に書いてゆきたい。



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2007.08.02

黒澤明の「白痴」について

製作年 : 1951年
製作国 : 日本
配給 : 松竹



ドストエフスキーの原作を、久板栄二郎と黒澤明の共同脚本で、「羅生門」につぐ黒澤明の監督作品、松竹と映画芸術教会の提携作品として企画は本木莊二郎。主演者は、「善魔」の森雅之、「悲歌」の三船敏郎、「野性」の原節子、それに志村喬、東山千栄子、久我美子、村瀬幸子、千石規子、柳永二郎などが助演(gooのデータより)。

また、こういう暗くて古い作品を取り上げると、アクセス数が下がるだろうなあと思いつつ、今日も何か語らないとねえ、というわけで…。

黒澤明の「白痴」を観た。これで3回目だと思う。
失敗作、偉大なる駄作だとか思った記憶があるが、今回観て、これはもう凄い世界を描いたものだなあと素直に感じた。
ずいぶん配給会社からカットされたという話だが、オリジナル全長版を見てみたいものだ。
4時間でも5時間でも、ぜひ見たい。
ドストエフスキーの原作を今読んでいるが、この異様な長さを思えば、5時間の映画など短いと感じるだろう。
ドスト氏は、長く書くという病に侵されていたのではないかと思ってしまうほど、彼の小説は怖ろしく長い。
登場人物を減らし、会話を切り詰め、本筋とは関係のない挿話はカットし……という具合に短くする工夫をすれば少なくとも半分まではページを減らせるだろう。
それに比べ、黒澤の「白痴」は、言葉足らずで終わっている感がある。ラストのほうが呆気ないくらいだ。
原作ではムイシュキンが26歳、ロゴージンは27歳ということになっているが、映画ではかなり年かさになっている。だが、男優二人は熱演していて素晴らしい。
いかんせん、ナスターシャとアグラーヤ役は、原節子と久我美子では無理があった気がする。
かといって、この意欲作をこき下ろす気は毛頭ない。
日本で、これほど骨太な大作に挑んだ監督がいたというだけで感動的だ。
全体のバランスとかテンポなど、難を言えばかなり出てくるだろうが、それらを超越した力が、この作品には確かにある。

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